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狂花を毛嫌いするように小町に言う薔薇姫
「で、でも屋敷の中にはお侍さんがいるでやんしょ?そんな物騒な事したらばれるはずでやんす!」
薔薇姫に疑問を投げ掛ける小町。
「あんたぁ考えが若いねぇ。確かにそこらのひよっこならぁすぐにばれて屋敷を追い出されるだろうけどねぇ。ここにいる大体の女共は自分自身の身の危険と物騒な事態に備える為だけに侍を雇っているからそもそもそんな事を自分からするとも思えないが。あの女は違う。」
狂花は、男からの評判は滅法良いが女中からは評判が悪い。その訳は彼女の素性、そしてやり口にあるというのだ。狂花は絶大な美貌と色香を誇っており、男という男を虜にしては好きなように利用する。女の魅力を最大の武器としている女なのだ。
「巷の盗っ人騒ぎにあの女が関わっているとするならぁ、侍と繋がっていてもおかしくはない。いや、下手をすりゃあ屋敷ぐるみということもありなんし。」
顔を歪ませながら言う薔薇姫。
「屋敷ぐるみでやんすかぁ!?物騒にも程があるでやんすよ!」
「あんたさんらも気をつけなんし。女でも利用されかねないからねぇ。」
慌てる小町に忠告を促す薔薇姫。
ところ変わり、人だかりのなか奮闘する男が一人。騒ぎ立てる男達。
「なぁんだ!てめぇ!割って入ってきやがって!順番ぐれぇ守りやがれ!」
「んあぁ?んなもん守ってやがったらぁ夜が明けちまうよぉ!お前ぇさんこそ順番変わるべきじゃあねぇのかい!充分面ァ拝んだろぉ!」
その様子を遠くから見ているおやじ。
「おやおや、あの若ぇ男頑張ってんなぁ。男の性というやつかねぇ。」
顔を拝もうと悪戦苦闘する佐之助。
その様子を屋敷の中で傍観する女、横には侍らしき風貌の男。
「今宵も男がよく鳴くねぇ。五月蝿くて飯も食えやしないよ。なぁ佐吉や。」
「……。」
黙ったまま返事をしない切れ長の目をした侍。
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