第3章 本物の侍

2/3
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/243ページ
に名を名乗る冠十郎。佐之助は、 「じじいに感謝されても嬉しいもんじゃあねぇな。名まで名乗りやがって、まぁ団子がうめぇから良しとするかダッハッハ!」 と団子を頬張りながら言った。そんな佐之助を見ながら小町は溜め息をもらす。「感謝している人に対してそれはないでやんす!それにそんな物騒なモノいつまで肩にかけてるでやんすか!」 佐之助のむき出しの刀を指差して小町が言った。 「んあ?そういやそうだ。忘れてたなぁ、鞘ァ壊れてやがったんだったな。どこかに売ってる場所ゃあねぇのかい」 「やっと気付いたんでやんすか!なんで忘れてるでやんすか!」 「んなこと言われてもよぉ、壊れちまったもんはしょうがねぇよな。」 やんわり返す佐之助。それを聞いていた冠十郎が「刀の鞘なら向かいの店で調達できるはずですぞ。娘を助けて下すったお礼にお題は払わなくて結構ですのでこれで調達するといい」 と佐之助に一両を手渡す冠十郎。気前のいい冠十郎に感謝しつつ佐之助は「一両もくれるのかい?お前さん気前がいいなぁ!一両もありゃ団子をたらふく食えるなぁ。何本食えんだ?わかりゃしねぇが一両で食える分作ってくれねぇかい?」 鞘を調達する為渡した金で団子を食べようとする佐之助に冠十郎と小町は顔を見合わせた。 「何言ってるでやんすか!それはじいちゃんが鞘を買うためにくれたお金でやんす!団子を食べるお金じゃないでやんす!」 「んあぁ?鞘なんざよりも飯のほうが大事だぜ俺ァ。人斬ることより飯食うことのほうが好きなんだ!ダッハッハッハッハ!」 笑いながら言う佐之助。 「いいからはやく行くでやんすよ!団子なんか食べてる場合じゃないでやんす!」 佐之助の着物の袖を引っ張り店から出そうとする小町。団子を食うと駄々をこねる佐之助。その時暖簾をくぐり一人の客が団子屋に入ってきた。 「お邪魔しはります」 入ってきたのは団子屋の常連客で酒屋の店主のお加代。色白の肌に大きな瞳のおしとやかな美人だ。佐之助はお加代の美貌に心奪われた。 「あれぇ?見ない顔やねぇ、お侍さんどすか?小町ちゃんの知り合いかい?お初どす。お加代と申します。」満面の笑みで挨拶をするお加代。佐之助はお加代の手を取り「惚れた、いい女だお前さん、俺の女になってくれ。それがいけねぇのなら俺の団子の肴になってくれ!」 初めて会ったお加代に恋文のごとく言葉を投げる佐之助。戸惑いじっと
/243ページ

最初のコメントを投稿しよう!