13人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「店から呼んだ芸妓ならともかく、お梅を言いくるめるのは無理だ――勘のいい女だからな。どうごまかしたって感づくさ。芹澤さんに知られりゃこっちが終わりだ」
「だからって」
「長居は無用だ。行くぞ」
殺るはずだったあと一人は逃げおおせたようだ。歳三と総司――残りの二人が追ったか。賊の仕業に見せかけるのだから深追いは禁物だ。その辺は年長の歳三が上手く判断するのだろう。
左之助は震える手で血の匂いの染み込んだ布を掴み、再び闇に消えるべく顔を覆った。
最初のコメントを投稿しよう!