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「店から呼んだ芸妓ならともかく、お梅を言いくるめるのは無理だ――勘のいい女だからな。どうごまかしたって感づくさ。芹澤さんに知られりゃこっちが終わりだ」 「だからって」 「長居は無用だ。行くぞ」  殺るはずだったあと一人は逃げおおせたようだ。歳三と総司――残りの二人が追ったか。賊の仕業に見せかけるのだから深追いは禁物だ。その辺は年長の歳三が上手く判断するのだろう。  左之助は震える手で血の匂いの染み込んだ布を掴み、再び闇に消えるべく顔を覆った。
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