平成29年3月21日

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 妻からは「今どんな状態か」、「食事はとっているか」、「野菜は食べてるか?」なんてことを聞かれたと思う。私は昨日の自分のみを責める言動を詫た。私が躁鬱病になったことは、妻にも責任の一端があることも認識してもらうよう伝えた。シンプルに言えば、「自分だけの問題ではないので、みんなで一緒に解決しよう」これだけ言えばよかった。  結果としてシンプルに伝えることが出来なかった。妻に対しては、強く「自分も悪かった」と言わせるよう強要するような口調で話をしてしまったし、昨日の出ていった状況をいじめっ子に殴り続けられるいじめられっ子を見ているだけで助けてくれなかった。みたいな例え話をして、結果コンタクトを取らないと約束までしてくれていたはずの妻の実父まで電話に出てくる状況になり、恐怖のあまり電話を切ってしまった。電話を切った直後あまりの恐ろしさにその場で頭を抱えた。「どんどん周りを傷つけていく」そんな思いが強かった。誰かに助けてほしかった。いや、妻に「一緒に治そう」と言って欲しかっただけかもしれない。それだけだった。電話口から伝わる私に対する妻の恐怖心と、恐怖心に耐えきれず実父に電話を何も言わず渡した心境はどんなものだったのだろう?ただ、私の両親にこの状況を話してしまうと間違いなく破滅へと向かう。  それだけは避けたかった。我に返った私は、命乞いをするようにメッセンジャーに言葉を綴った。妻の両親とコンタクトを取る恐怖、一緒にこの病と戦ってくれなければ連絡をして欲しくないこと、壊れてく自分が怖いこと、言葉でなら優しくなれるのではないかということ、妻の力が欲しいこと、私の両親には内密にすることを貫いて欲しいこと。矢継ぎ早に書いてしまった。妻はメッセージは読んでいるようだが、返信はない。平成29年3月21日20時43分。
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