【一章】ここは薔薇の花園です

13/19
前へ
/26ページ
次へ
「えーと、腐った男子で腐男子だよ。それがどうしたの?」 どうやら話を聞いてなかったらしい。 俺は佐藤のためにグーグル検索エンジンの画面を見せて一言、 「調べんの。フダンシってやつの実態を」 続けて藤咲。 「せっかく佐藤くんと仲良くなれたからね。知りたくなったの」 途端、青褪めて取り憑かれたように首を何度も横に振り始めた佐藤に、俺は静まるよう促す。 そんな反応されると余計調べたくなるよね~。チェシャ猫のように悪戯げに笑う俺は、スマートフォンに喋りかけた。傍から見たら痛い奴だが、CMではこの調べ方を推奨してるから。仕方ないね。 「教えて、グーグルえもん! フダンシ、意味」 どうか無知な我らにご教授をお与えください。 「グーグルえもんって語呂悪すぎない?」 「ああ~。あ~っ。調べちゃったよ。止めろっていったのにぃ~」 正反対の反応を見せる二人を尻目に、俺の目は画面に釘付けだ。 パンポンッ。軽快な音楽が鳴り、結果が表示された。 えぇーと、なになに……? 「『腐男子(ふだんし)とは、ボーイズラブ(BL)・やおい作品を好む男性のこと。腐男子の別名として、父兄をもじった腐兄(ふけい)がある。』……だって。ふーむ。なるほど、なるほど」 スクロールさせ、出てきた文面を朗読し、ふむふむと理解したフリをしながら、俺は更に訳が分らないと心中で首を傾げていた。 なんかまた知らない単語出てきたな。“やおい”ってなんだよ。腐兄とか、腐男子の別名って。はあ? そのままスクロールさせ、指がピタリと止まる。画像一覧の文字が出てきたのだ。 「お。画像もあるーーーうへあっ!?」 何となく、ちょっとした興味本位でクリック。俺は軽率なその行動に後悔した。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

143人が本棚に入れています
本棚に追加