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修吾とも、何回かこの店に来たことがある。
嫌な女と言われても仕方がないが、私はシオンに嫉妬して欲しかった。
思惑通り、シオンは嫉妬した。
修吾と飲んでいた私を、シオンはトイレに引っ張りこんで、激しく犯してきた。
その日はシオンの彼女もカウンターに1人座って飲んでいた。
私達は酷く興奮した。
お互いのパートナーが扉を隔ててすぐそこにいるのに私達は罪を犯している、という状況に興奮した。
そんな醜悪な愛欲でも、私は嬉しかった。
その瞬間は彼女に勝てた気がしたのだ。
だけど、そんな関係とも今日でおしまい。
ーーシオンは、私の部屋の冷蔵庫からビールを1缶取り出して「もらうよ」と言った。
「麻里は? もっと飲まないの?」
「......うん、今日はもうやめとく」
「つまんねーの、お前、酔った方がやらしくなるのに」
シオンはいつものようにニヤリと笑う。
そんなシオンの顔を見たら、別れ話なんてせずに、このままいつものように抱かれてしまいたい心境に駆られてしまう。
「シオン、話があるの」
「ああ、そうだったな。どした?」
「私、実家に帰るの。お見合いする」
「見合い? お前が?」
シオンはビールを一口、喉を鳴らして飲んだ。
「やめとけよ。実家に帰るのだって、お前らしくない」
「私らしい、て、どういうことかな......私、もう疲れちゃったのよ」
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