捨てる女

4/14
前へ
/14ページ
次へ
それでいて、自分も悪びれることなく2股を掛けているのだ。 どうして1人に絞らないのか、と私のような女は大多数の国民から非難され理解されない対象に違いない。 分かっている。 1人に絞れない理由は、みんなそれぞれタイプが違うから。 みんなが私を満たしてくれて、みんなが私を孤独にする。 でも、そろそろもう止めようと思うの。 与えてくれればくれるほど、私はみんなに自分の羽根をむしって分け与える。 そして私の身体は次第に痩せ細っていくのだ。 もう止めよう。 実家の母が、お見合い話をもってきた。 お相手は地元の県会議員だそうだ。 そろそろ東京暮らしにも飽きてきたし、実家に戻ればお金の心配もほぼ無い。 お見合い結婚すれば、一生安泰じゃないか。 私は母にお見合い話を進めてもらうようお願いした。 何もかも捨てて、再スタートを切るのだ。 だけど、そうするにはまだやるべき事があった。 3人の男と別れること。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加