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「こんな顔の怖いオッサンは眼中無いから」
そう言いながら、渚は足を組んでココアを飲む。
「私の好みは年下だし、可愛い系が好きなの。
そもそも、あの無愛想な犬あんまり私になついてなかったから。それがこんなオッサンになって、お隣に越して来たときの衝撃やら何とやら」
「オッサンオッサンうるせぇよ」
苛立たしくガムを噛む冴月。とっくに味は無くなっている。
「マジ般若みたいな顔のオッサンを、どう犬扱いしたら良いのよ?」
「生憎、てめぇより若ぇよ」
「その面で6歳半ってヤバいじゃん。犬みたいにずっとガム噛んでるし」
「誰かが下らねぇ冗談言って、妹を混乱させなきゃ、こんなイライラしてねぇよ」
静かに火花を散らす2人の傍で、日和はソファーに座りココアを飲んで休んでいる。
「つまり…2人共知り合いだったんだよね?」
「まぁ、私が無理矢理聞き出した感じかな。最初コイツ、凄い怪しかったし」
「越して来た部屋の隣から、知ってる匂いがして驚いたんだよ」
「流石犬よね。でも、私の部屋に日和がいるか気になってどうにか確認しようとするのが怪しかったんだよ」
「おい!」
慌てる冴月を他所に、渚は笑いながら話を続ける。
「中をどうにか覗こうとしたり、日和に何て声掛けるかブツブツ言って悩んでたりして怪しかったわ~。でね、日和がいないって知ったら、『そうか』って平常装ってるつもりだけど、分かりやすくガッカリしてるんだよ。
あとー…」
「帰る!!」
勢い良く立ち上がると、ドカドカと玄関に向かう冴月。
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