キブシ

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「日和ちゃ~んんん!!」 猫が勢い良く日和に飛び付く。 「ありがとうありがとうありがとうありがとー!!」 「苦しい…」 「離れろクソ猫!!」 冴月が剥がせば、猫谷は子供のように笑う。 「ありがとう日和ちゃん!俺、この名前大事にするよ!」 「…っ、はい!」 日和と猫谷…もとい星はニコニコ笑う。そして星の鼻チュー。 「~~!!」 「こぉんの、馬鹿猫!!」 ゴンっ!! 「痛いー!」 「はいはい、少し離れなさい。晩ご飯作るの手伝って」 冴月の拳骨を食らった星を引きずり、渚がキッチンに消えた。 「またびっくりした…!」 ふぅ…と息を整える日和の傍で、ブスッとしかめっ面の冴月。 「…犬養…さん?」 「…この前の子猫といい、クソ猫といい…何でお前は最近猫に絡まれるんだよ」 ガリガリ首の傷痕を掻く冴月。 「第一、俺はあのクソ猫気に入らんし。何で日和から名前もらってんだよ? 猫なんか気ままに過ごしてんだ、あんなの飼いたいのかお前?」 「猫を、私が飼いたい?」 「昨日渚がわざわざ言いに来たんだ。子猫見ながら飼いたいって悩んでたって…」 「…ああ!…私、動物好きだから、また飼いたいなって思ってたんです。冴月が死んでから、中々飼う勇気が無くて…」 日和はアハハと苦笑いする。 「俺が死んでから…?」 「全然飼ってないです。でも…犬を見たら、冴月しか考えられないから…飼うなら猫かな…って…」 唖然とする冴月にただ苦笑いの日和。 「でも驚きました。私が名前を付けたとか猫を飼うとか…何だか犬養さん、ヤキモチ焼いてるみたいで……」 「…は?」 「…えっ…?」 「………」 「………」 「………帰る!!」 「えええっ!?」 耳が真っ赤の冴月は慌てて帰ろうと立ち上がり、日和が急いで止める。 「離せこらっ!!」 「えっ、本当にヤキモチ!?」 「何何何!?面白いことしてる!?」 ギャンギャンと言い合う元飼い主と元飼い犬。そこに混ざりたがる元猫… こうして、バイトの休みは過ぎていった。 そしてこの日から、日和と冴月の日々に、新しい花が加わったのだ。 ~花言葉…『出会い』
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