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「猫谷 星でーす!よろしくでーす!」
『ARISU』のエプロンを身に付け、星はヘラヘラ笑いながら頭を下げる。
「よろしく」
「よろしくね、星君!」
真希が軽く、日和が同じく頭を下げる。
「ここって、日和ちゃんと美人のお姉さんがいるとか最高じゃん!…このヤクザがいなかったらもっと最高なのに…」
「誰のことだろうな…?」
冴月は星の白い頭を鷲掴み、ギリギリと締めていく。星の悲鳴発動。
「冴月ちゃんも星ちゃんも、早速仲良しだね」
「あかりちゃん…って俺男だけど店長。
てか、このナリで冴月ちゃんって…!」
笑いを堪える星を冴月は鼻で笑う。
「言っとくが、ここでも俺はてめぇの先輩だ。言うこと聞けねぇなら路地の段ボールに即突っ込んで捨ててやるからな、あ・か・り・ちゃん…!」
「その前に俺を捕まえられるのかよ。さ・つ・き・ちゃん…!」
バチバチと火花を散らす犬と猫を、土田だけが呑気に笑う。
「面倒くさ…赤峰、仕事再開しよ」
「あっ、はい!」
真希に言われ、日和は運ぶ最中だった売り物の園芸用品を整理する。
「あの…」
日和に声を掛けたのは、30代後半の女性だった。
「はい!どうされました?」
「実は、恋人の誕生日に誕生花を送りたいの。ペチュニアがここにあったら今度買いに来るんだけどあるかしら?」
テレビで観るモデルのような人…女性を見て日和はそう思った。
派手過ぎず、しかし女性を引き立てる服。確かブランド物だったはず…整った顔がニコリと笑うと、同じ女の日和もドキッとする。
「店員さん?」
「はい!ペチュニアだったらこちらに…」
我に返った日和が案内すると、今度は女性が止まる。
「…本当にいた」
「お客様?」
視線を辿ると、まだ火花を散らす冴月と星がいる。
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