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「…サツキ…さん…」
「ん?どうかした?」
「いえ!何でもないです!
サツキって、昔大好きだった飼い犬の名前も同じ名前だったので思い出しちゃって…」
「そうだったんだ。
なら赤峰さん、サツキちゃんと仲良くなれるかもね。サツキちゃん犬っぽいとこあるし、花好きだしね」
土田がそう言うと、鳩崎が悲鳴を上げて戻って来た。
「やっぱり怖いんですよあの人!!名前と花好きは女子なのに、鬼かヤクザの間違いでしょ!!」
「誰が何だって鳩崎ぃ!?」
ブンッ!
低い声で怒鳴り声が飛ぶと同時に、店の奥からクリップボードが飛んできた。鳩崎は頭上スレスレでクリップボードを避け、悲鳴と共に店を飛び出した。
「……あれ…は…!?」
「ああ、サツキちゃんの平常運転ね。
あれウケるんだよ~。たまにウチの女性店員目当てで口説きに来るお客がね、僕が『ちゃん』付けで呼ぶからサツキちゃんも間違えて口説こうとするの。そしたら花以外の色んな物が飛ぶんだよ」
前言撤回、完全に後悔した。
(む、無理無理無理!!こんな所いたら終わるよ私!!過労じゃなくて物理的にやられるから!!
て言うか、女の人じゃないのかサツキさんって!?キレて物投げる人と仲良くなれるかもってどうして思うの土田さん!!)
目の前の現状を受け入れきれず、日和はフリーズする。
「晴明!!今度は何しやがった!?」
怒鳴り声が土田に向く。
「ごめんサツキちゃん、新しい人雇ったこと言ってなかった。あと今日からバイトなんだ」
呑気な土田の報告に、日和は青ざめ土田の肩を掴み揺らす。
「止めてくださいお願いします!!」
「お前はぁ……!!」
怒りと呆れを含んだ声と、靴音が近付いて来る。もはや恐怖しかない日和は土田の後ろは隠れた。
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