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『ARISU』のロゴが入ったエプロンを着て、日和は花のラッピング方法を教えてもらっていた。
「まぁすぐに出来ないだろうし、ラッピング注文あったらはアタシ呼んでね」
「はい!」
そう言い、店員の野原 真希は日和に指導をしていた。
「失礼~」
カランカラン、と来客を知らせる音が鳴り、ご機嫌な声が店内に響く。
「いらっしゃい、宇佐美さん」
「ハーイ、真希ちゃん!今日も男口説きに来てた?」
「午前中は2人来ましたよ。犬養さんが追い返してますけど。その後は犬養さんの平常運転があったからビビって来てないですよ」
真希は笑いながらエプロンを取る。
「ウケる~!で、そのサツキはどこに?」
「奥で店長の愚痴りながら会計中」
「ふーん、後から声掛けるね。スバルは?」
「今日休み」
「ダイは?」
「犬養さんの平常運転食らって、ビビりながら定時ぴったりに逃げ帰った」
「店長は?」
「私情って言って逃げました。おかげで私が代わりに新入り指導です」
「すいません…」
会話のキャッチボールの最後に愚痴が入り、日和は謝る。
「ああ、アンタは気にしないで。店長と先帰った鳩崎に今度ブランド物買ってもらうし。
犬養さんが帰るまで店長戻らないだろうから、今日は上がって良いよ」
「えっ、でもお客さんが…」
「あの人大丈夫。常連だし、買わずに眺めることもあるから。
何かあったら犬養さんがやってくれるし、アンタも帰りな。アタシ合コン行くから」
真希はメイクを確認して奥に消えた。
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