17章 交換条件

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・ 「ザイードは……」 愛美は小さく問い掛ける。声が聞けたら嬉しい── そう思いながら愛美は胸を押さえる。 「ザイード様はまだサンドリアージュに居りますが時期に帰ってきますわい…声が聞きたかったですかな……」 愛美は戸惑いながら返事を返した。 「話をさせたいのは山々ですが──…ザイード様には少々、マナミ様断ちをしていて頂きたい」 「あたし断ち?」 「はい、ザイード様には少々、我慢が必要で御座いますから、マナミ様もご協力をお願いしますわい……っ…がはははっ」 「……?…」 何故か明るく笑い飛ばされてしまった── 何か愉快なことでも思い浮かんだのだろうか? 愛美はお願いされたことに返事を返しながら電話を切っていた。 ザイードが我慢を強いられているのなら…… 自分も耐えるべきなんだろう── “時期に参りますからもう少し待っといてくだされ…” 「………」 取りあえずはこの一言が聞けただけでも安心した── 愛美は包帯をほどいた手を見つめ、指輪を眺める。 きれいなスカイブルーの色はあの広大な砂漠の青空そのものだ。 “大事な物だ──…マナミに預けておく…” 「………」 愛美はザイードの言葉を思い出し、ザイードがしたようにその指輪に軽く口付けていた。
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