序章

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  彼女はイラつきながら、もう一度告げる。 「ですから、恋愛映画を作ってもらえませんか?」 ん――…… 聞き間違いだろうか? なんで、第4魔界の王である我が―― 恋愛映画を作らなければならないのだ? 突拍子もない無理な提案に、我は現実逃避を試みた。 近くに置いてあったグラスを取り『第4魔王』と言う名の蒸留酒を一口 口に含む。 「あぁ――我にピタリの酒ではないか」 アルコール度数は36度未満。 単式蒸留で作られたモノに分類される。 元々この酒は、大衆酒として広く飲用されているのだが―― 一部マニア受けが良いからと言って価格暴動が勃発。 それによって、破滅の道を進んだとある国の酒らしいが――。 魔物など使わなくとも、自らの手で滅ぼうとは―― 人の命は儚いモノよのぅ。 「あぁ、旨い――……」 しみる。 実にしみいる。   
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