3人が本棚に入れています
本棚に追加
「アハハハハハ――私です」
答えたのは、目の前に居たハルカリナッソスだった。
本来4メートル程ある巨体の我なのだが――
膝をつき蹲っていた為に、丁度目の前に彼女が居た。
猫でも撫でるかのように、ワッパが我の首元に手を添える。
「だけど、可笑しくないですか色々と?」
「何がおかしいんだ?」
彼女の質問に疑問で答える。
それにしても――
さわさわと撫でる手は、すべすべしていて 悪くは無い。
「えっ? え? 分からないんですか? じゃあ、状況を説明しますよ」
「あぁ」
彼女が順を追って説明する。
「先ず、私が恋愛映画を作って下さいって言いましたよね?」
「あぁ」
「それに対して、君はどうしましたか?」
魔王に対して君ってどうなの?
突っ込んだら、また鉄拳が飛んできそうなので突っ込まない事にした。
「ん――……酒を飲んだ」
「ん? なんですか?」
「御前を無視して、酒を飲んだ」
「何で目の前に質問した人が居て、それを無視出来るんですか? コミュ障なの?」
「何? コミュ障って?」
彼女は無視して続けた。
「次に『いいから映画作れって言ってんだ、ジジィ!!!!』って、私が言った時にどうしました?」
「――……」
「聞こえなかったですか? 『いいから映画作れって言ってんだ、ジジィ!!!!』って、私が言った時にどうしました?」
「怒鳴った――」
「だからぁ――……アスぺなの?」
「何? アスぺって?」
次々と飛んでくるイミフな言葉達。
魔王界には『コミュ障』とか『アスぺ』とか言う表現は無い。
彼女が言う言葉にただただ疑問を投げかけるしかなかった。
ただ一つ言えることは、余り良い表現じゃないような――
悪口を言われているような――
それだけは、薄らと理解できていた。
それに追い打ちをかける様に彼女は続ける。
「だから、君は根暗でやなんだよね~」
「なっ!!」
「他の魔王様なら、もう少しちゃんとしていたよ」
「にっ!?」
「言葉のキャッチボールが出来ないってことは、女性の扱いも分かっていないよね?」
「ぬっ!?」
「だから万年、彼女も出来ないんだよ」
「ねっ!?」
「大体、彼女だけじゃなくって――……魔王なのに部下が1体もいないってどういうこと?」
「ノオオオオオォォォオオオォオォオォオオオ――……」
――我は、その場で泣き崩れた。
最初のコメントを投稿しよう!