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哂うヤマモトヒロシ
「いやあ、君に任せておけば安心だな。これからもよろしく頼むよ、山本くん。」
そう言うと、社長はヤマモトヒロシの肩をぽんと叩くと満面の笑顔で、去って行った。
俺とヤマモトヒロシは深々と頭を下げてそれを見送った。
ヤマモトヒロシの後ろで頭を下げながら、俺のはらわたは煮えくり返っていた。
どうして俺がヤマモトヒロシの下で働かなければならないのだ。
量産型ヤマモトヒロシはその特性から日本では重宝された。
汎用性に富み、どんな仕事もミスなく無難にこなす。
しいて欠点を言えば、ヤマモトヒロシは決して危ない橋はわたらないので、例えば画期的なアイデアを求めるなどという仕事には向いていない。
つまり、会社には決して逆らわない。何事も無難な選択をし、決して会社に不利益をもたらさない。
ヤマモトヒロシの脳は、危険回避能力に長けているのだ。
俺はというと、起死回生をかけて挑んだプロジェクトに見事失敗。
会社に多大な不利益を与え、あえなくヤマモトヒロシのもと、平社員からのやり直しだ。
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