哂うヤマモトヒロシ

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可もなく不可もなく、地道にコツコツと仕事をこなしてきたヤマモトヒロシが見事、俺の直属の上司となりあがったのだ。俺はヤマモトヒロシを陥れるために、いろんな罠をしかけたが、ヤマモトヒロシはことごとくそれを回避。 もう俺は、ヤマモトヒロシに勝てる気がしない。 そこで、俺は今日、意を決して、このラボの戸を叩いたのだ。 執刀医はもちろん、ヤマモトヒロシ。 「本当にいいんですか?」 執刀医のヤマモトヒロシは俺に訊ねた。 「ええ、お願いします。」 21××年。 あわや第三次大戦に突入かと思われた危機を、首相のヤマモトヒロシは回避した。 和平会議でどのようなカードを使って大戦を未然に防いだかは、謎である。 この功績をたたえ、我が国は正真正銘の常任理事国となったわけだ。 ヤマモトヒロシが製造販売されて、わずか40年のことである。 ついにハイブリッド人類による支配がはじまったと、オカルトマニアは危惧するも、世界は確実に良い方向へと向かいつつあることは事実だ。 人間は誰しも、ミスを恐れる。 ミスをしない人間になれるのであれば、誰もがなりたいであろう。 その人間の願いを叶えてくれる研究が密かに行われていることを知った。 倫理上、人体の改造については、まだまだ世間には理解はされていない。     
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