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その頃、正大の一歳違いの弟・和大は近くのカフェにいた。
調査で行き詰った時や依頼を解決した後など、休息のために来ていることが多い。
兄の正大はもっぱら祖父とお茶を飲むのが休息になっているようだが・・・・・・
「今回、大変だったのか?」
ややぐったりしているように見える和大を見て、カフェのオーナー・馨はラベンダーティーを差し出す。
「うーん。そうでもないけど・・・・・・これ、優斗くんとこの?」
「そう。優斗には色々と教えてもらってるからな」
優斗とは、近くで農園を営んでいる二人の幼なじみだ。
「野菜にしろ、ハーブにしろ優斗くんは詳しいもんなぁ・・・・・・あー、しみるわぁ」
ラベンダーティーに口をつけて、そうしみじみと呟く和大を見て馨は優しく微笑む。
「こんにちはー」
噂をすれば何とやら――
カフェにやってきたのは、優斗だった。
「いらっしゃい」
いつも以上にニコニコしている馨と、くすくす笑っている和大を優斗は不思議そうに見つめる。
「何?なんでそんな笑ってんの?」
「ちょうど優斗くんの話をしてたから、タイミングがすごいなぁと思って」
「俺の話?」
「そう。ラベンダーティーを和大に出してたから」
「あぁ、なるほど!癒されるでしょ?」
得意げな顔をして優斗は和大に近づき肩を揉んでやっている。
和大はやや恥ずかしげにしながらもそれを受け入れていた。
「で、優斗は何にする?」
二人の様子を微笑ましく見ていた馨が声をかける。
「えーっとね・・・・・・」
楽しそうに悩んでいた優斗だったが、ふと動きが止まる。
「優斗?」
今度は二人が優斗を不思議そうに見る。
「そうだ!俺、和大に言っときたいことがあったんだよ」
「俺に?」
「そう!つい和んじゃってたよ。実はさ――」
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