ギリギリチョコレート

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「はいっ!」  怒ったような顔をして、乱暴につきだされたその包みがなんなのか、最初わからなかった。 「……あの、アリスお嬢様これは?」  白藤銀次は、庭のベンチに座っていつものように本を読んでいた。そこにずんずんと凄い勢いで鈴間屋アリスがあらわれ、目の前に突き出して来たのだ。なんか、ピンクの箱を。 「チョコレートに決まってるでしょう! 白藤、バカなのっ?!」  噛み付くような勢いで怒鳴られた。  顔を見ると、ものすごく怒っていた。  鈴間屋の家に居候するようになって数ヶ月。アリスお嬢様の奇想天外で突飛な行動には多少なれているつもりだったが、しかしこれは予想外だった。  確かに今日はバレンタインだが、チョコレート? アリスお嬢様が??  彼女がおおよそ、そういうことをするとは思えないんだけれども。  思いながらも、 「あ、ありがとうございます」  ぐいぐい差し出されるそれを、慌てて受け取る。それから、自分が座ったままだったことに気がつき、慌てて立ち上がった
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