ギリギリチョコレート

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 銀次の顔を見て、優里は一度頷くと、また歩き出す。 「あれは今から四年程前のことです。アリスお嬢様がはじめてチョコレートを手作りしてくださいました。それも、鈴間屋の使用人全員分。優里達は皆、とても喜んでそれをいただきました。その晩のことです、全員が原因不明の腹痛に襲われたのは」  いや原因明らかだろ、それ 「次の日、アリスお嬢様に心配をかけないように、優里やシュナイダーさんなど一部の人間は気力で働きましたが、八割の人間がダウンして寝込みました。三日程。その次の年も、アリスお嬢様は同じようにチョコレートを作ってくださいました。今度は、くじ引きをして選ばれしものだけが食べました。去年のは偶然かもしれないからです。……偶然ではありませんでした。アリスお嬢様はお料理がとても、苦手です」 「……はやく言ってください」  っていうか、苦手っていうレベル超越しているだろう。何いれたんだよ……。  あ、本当になんかお腹いたくなってきたかも……。  その年、白藤銀次は三日間寝込んだ。
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