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光の消えた廃墟の中は闇。
闇は音を際立たせる。
「誰だって聞いてるんだ」
駒井靖夫は小声で再度尋ねながら、耳を澄ませた。
ガサガサとした慎重な足音が外から段々と近付いてくる。
「おい、ヤバイぞ。
逃げよう」
振り向いたところに、男前の気配は既に無かった。
電話を取る事での本人確認と、現物がある事を確信した電話の相手が、
『警察の者です』
眩しいライトと共に数名で現れた。
「ちっ! 」
舌打ちと同時に携帯電話を投げつけ、
「待て! 」
警察より速い足でその場を逃げ出した。
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