エピローグ――――鳴動

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『念のために、注意を何点かしておこう。誰にも相談はせず、必ず一人で来ること。それと、時間に遅れるのは論外だが、早すぎるのも問題だ。トラップでも準備しているのかと疑いたくなってしまう。他に私に疑われるようなこともするな。今言ったことを守れないようであれば、私は、君が何か余計な企みをしていると判断する。そうなれば、君が父の死の真相を知る機会は二度と訪れないだろう。……いいな?』 「……わかった。だが、そっちも約束は守ってもらうぞ」 『ああもちろんだ。君が待ち望んだものは、ほどなく手に入るだろうさ。では、また明日……』  通話が切れる。  ……どうする? 罠の可能性……もちろんあるだろう。神楽の言葉を完全に信用するのは危険だ。一人で行くという条件がある以上、身の安全だけを考えるならやめておくのが賢明だというのは明らかだ。  ……しかし、神楽が千裕の死についてなにか知っているというのは前から予感していたことだ。その予感は、今の電話でより確度を増したように思う。このチャンスを逃せば、神楽が言うように、冬吾がそれを知る機会は二度と来ないかもしれない。  それに、神楽の誘いを断れば灯里の身に何があるかわからない。そうだ、初めから選択肢などない。 「腹をくくるしかない、か……」
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