正解だったのか?

2/20
前へ
/20ページ
次へ
「信じた訳じゃないから」 朝食の後片付けをしながら妻の朋美が吐き捨てるように言った。 昨夜からずっと険悪なムードだ。僕はソファーに座って新聞を広げていた。 「そろそろ会社に行く時間だ」 そう言って新聞をたたみ、カバンを持って玄関に向かった。 靴を履きドアを開いて廊下に出た。エレベーターに向かって歩き出すと ”バタン”と大きな音が響いた。勢いよくドアが閉まったのだ。 いままでそんな音は聞いたことがなかった。普段は僕が見えなくなるまで ドアを開けたまま朋美が見送っていたからだろう。 (そういえば、付き合いだしてから喧嘩らしい喧嘩をしたことってなかったな)
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加