素直に好きって云えなくて

14/27
前へ
/27ページ
次へ
期待を込めた目がレンズの向こうからこっちを見て、瞬間一気にテンションが下がった。 ……なんかさ。 私から云うのって負けた気がする。 いままで対等だったのに、好きだ、付き合って欲しいって、まるでこっちから下手に出るみたいで。 そういうの、……なんか、嫌。 「……なんでもない」 「そう」 なんでもない、そんな顔をしているが、あきらかに靖史からはがっかりしてるって気持ちが滲んでる。 ……云った方がよかったかも。 少し後悔はしたが、でも。 これはプライドの問題、なのだ。   それからも微妙な攻防戦は続いた。 「あのさ」 「なに?」
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加