素直に好きって云えなくて

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必死で靖史の陰を見つめて返事を待った。 「……ま、いっか。 んで、何時にするー?」 靖史の言葉に、心の中でガッツポーズをしたのはいうまでもない。   土曜日。 初……デートだよね、やっぱり。 お約束のように着ていくものに悩み、家を出たのはぎりぎりだった。 電車の中で窓に映る自分はあきらかに張り切りすぎてて、意図が見え見えな気がして恥ずかしい。 電車を降りると携帯が鳴った。 見てみると近くの本屋で待ってるとメッセージ。 もうすでに来てるんだと慌てて改札を抜け、云われた本屋に急ぐ。 「ごめん、待たせた」 「いや、買いてー本があったから、急ぐ必要なかったのに」 軽く息を切らせている私と目が合うと、靖史は黒縁眼鏡の奥の目をすーっと逸らした。
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