素直に好きって云えなくて

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始まりは何気ない一言だった。 「なあ。 おまえたち、付き合えばいいんじゃね?」 きっとこのとき、亮(りょう)はなにも考えてなかったに違いない。 クラスでいつもつるんでる四人組。 その中で、亮と桃香は付き合ってる。 そして残りの私――佐竹玲奈(れな)ともうひとりの立川靖史(やすふみ)は仲が悪いというわけでもなく。 どっちかというと気があってふたりで騒いでるので、亮は軽い気持ちで云ってきたんだと思う。 「は? おまえなに云ってんの? 玲奈と付き合うとかないわー。 おまえ、これのどこに女感じんの? ないない、ないわー」 「うわっ。 ちょっと酷い! えっ、亮も桃香もなんで笑ってんの!?」 ないとしつこく繰り返す靖史にむっとした。
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