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振りかぶっていた右の拳をストレートで突き出す。腕力に魔力を乗せ、右ストレートに合わせて放出された透明な魔力は塊となって大気圏を突き破って飛来する隕石とぶつかった。
衝撃波で雲が消し飛ぶ。隕石は目映い赤とオレンジの閃光を撒き散らして粉々に砕け、小さな欠片たちは雨のように下へと落ちていく。
その欠片さえも残さず消しておこうとするが、その前に気づいた。
「んっ?」
砕け散った隕石の中から、得体の知れない何かが飛び出してきたことに。
人の形に似た真っ白の造形に赤い目。手足の指は人間に比べかなり長く、背には四本の翼と腰からは三本の尾が生えている。背丈も成人男性の平均程度で大きくはなく、本当に人間のように丸みを帯びた形をしている。
目撃し、少年の目が点になる。間抜けにも口が開いてしまっていた。
そこから飛び出してきた言葉は、彼が落ちてくる物体を見て率直に抱いた感想である。
「ギャアアアアアアアア宇宙人だあああああああああああ!!!!」
そこからの行動は早く、実にシンプルだった。
上げていた右の拳を開いて掌を向け、魔力の光を溢れ出す。
漆黒の奔流は風船が割れるかの如く弾けて―――ヴァオンッッッ…!!!!と、日本の上空の一角に闇を広げた。
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