王だった少年の進撃

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何もかもを飲み込んだ闇が消えた先には青空だけ。落下してきていた謎の生命体(?)は跡形もなく消滅してしまっていた。 「マジかよ、こんなクソ忙しい時に地球外生命体に出くわすなんて……あっ写真撮っとけばよかったなぁ。って、ケータイ持ってねーや今」 凄まじい残念感とともに悔しがる少年はそんな戯言を残して移動を開始する。消えるような速度で空気を唸らせながらその場から去っていく少年は気づいていない。 始まろうとしていた神話を、神の誕生を、始まる前に終わらせた事実に。  〇 「…………なんということじゃ」 特殊な車椅子に腰かける老人は、声も体も震えていた。後ろに立つ眼鏡の男と死んだ目の男は頭上に広がった闇に唖然としてしまって反応出来なかった。 「アストライオスが……儂が作った神が、消し飛ばされたッ…魔力を反射する鉱物で作り上げた、世界から逸脱した最高傑作がッ……!!」 老人の嘆きに対し、後ろの彼らは何も言わない。ただ見上げたまま、 「……今のは、一体なんなんだ…?」 「あの魔力は………ふっ、ふふ、アハハハハハハハ!!」 突如笑い出した死んだ目の男に隣の眼鏡の男と車椅子の老人が怪訝な顔を向けてくる。だが死んだ目の男は全く気にせずに、頭を押さえて口元に笑みを浮かべながら言う。
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