花屋での出会い

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不安を抱えながら佳音はドアに歩み寄り、鍵を開ける前にそっとカーテンを開けて来訪者を確かめた。 「………!!」 佳音は無言のまま、目を丸くした。そして、急いで開錠し、ドアを開ける。 そこに立っていたのは、先ほど花屋にいた和寿だった。 「……なにか?」 そう声をかけた佳音は、ウェディングドレスのことで和寿が何か用があるのだと思った。 「あの……」 と言ったきり、和寿からは何も言葉が出てこない。戸惑うような視線で佳音を捉え、唇を噛んで言葉を探しているようだ。 佳音は訳が分からず、首をかしげて和寿を見上げる。 すると、目の前に花束が差し出された。佳音はますます訳が分からず、疑問を顔に書くと、和寿の方もきちんと説明する必要に駆られる。 「…こ、これ。さっきの花屋で何か買わないと気まずくって…。なので、…どうぞ」 シドロモドロと言葉を絞り出し、花束を佳音に手渡した。 思いかげないことに、佳音の方も目を見張って言葉をなくす。胸元にある花束の美しさに圧倒され、じっと視線を落として見つめ…、それから、その眼差しのまま和寿を見上げた。 和寿は恥ずかしそうに少し笑って、佳音の視線に応えると、軽く会釈をしてアパートの暗い階段を降りていった。
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