花屋での出会い

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和寿の後姿を見送って、もう一度花束に目を落とす。 ライラックにビバーナム、トルコキキョウとスイートピーとバラは、いずれも白いものが選ばれて、花束そのものがウェディングドレスのようだった。 そして、その花たちは、先ほど和寿に声をかけられる前に、佳音が食い入るように観察していたものだった。 花束を見つめる佳音の胸が、時計が時を刻むように、ドキドキと微かな鼓動を打ち始めた。 花々のあまりの美しさに、心が震えているのか…。 和寿の思いかげない行動に、ただ驚いているのか…。 …それとも…。 佳音は、作りかけのサーモンのマリネのことは忘れて、キッチンの戸棚を開け花瓶を探し始めた。 この花たちは一日でも長く…、できることならずっと枯らしたくなかった。
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