明るい花嫁

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「それじゃ、お休みの日なのに、お仕事みたいなものですね」 佳音がそう言って和寿を気遣うと、幸世は“当然”という風に軽く笑った。 「うちの会社っていう言い方は変かもしれないけど、社長は伯父がやってるの。で、パパはその弟で副社長なの。でもって、伯父には子どもがいなくてね。パパの子どもは私だけ。…だから、私と結婚するあの人には、ゆくゆくはうちの会社の『社長』になってもらうのよ。取引先との接待ゴルフくらい、軽くこなしてもらわないとね!」 佳音は幸世の軽快な口調に聞き入るだけで、何も言葉を返せなかった。 ただ、幸世は自分とは違う世界に住んでいる人だと思った。自分の想像もできないくらい華やかで明るい世界。婚約者である和寿もそこに住んでいて、なおかつ、そこで活躍している人なんだと改めて感じた。 佳音が神妙な顔をして黙ってしまったので、再び幸世は明るい表情で佳音に笑いかける。 「もしかして、私が寂しい思いをしてるって、考えてる?…とんでもない!私だって、これから友達と会う予定があるし、存分に楽しんでるんだから!…って、今何時?」 と、幸世は突然焦り始めて、壁にかけられた時計に目をやった。 「…やだ!もうこんな時間?!もう行かなきゃ、約束の時間に遅れちゃう!!」
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