休日の本屋で

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和寿からもらったトルコキキョウも枯れてしまったころの、翌週の週末。 5月の爽やかな青空が輝くような日だったけれど、佳音の工房には予約客以外にほとんどお客が来ることはない。 この日に限ったことではないが、来客もなく外出もしていないので、そういえばこの2日ほどは誰とも口を利いていない…。 佳音はパターンを引き直す作業の手を休めて、フッと息をつき窓の外を見遣った。 裏通りだけれども、休日を楽しむ人たちが歩いている。明るい光の中、軽やかな服装をして、楽しそうに。 佳音も久しぶりに外に出て、緑の若葉を抜けた爽やかな風を感じたくなった。 ちょうど、定期購読しているウェディング雑誌も入荷しているはずなので、本屋にも行く必要がある。 『近所まで出かけています。御用の方は電話してください』 と書かれたプレートを玄関のドアにかけて、佳音は少し出かけてみることにした。 いつもの商店街を通り、いつもの花屋へ。 あれから何度かこの花屋を訪れたが、その度に和寿を思い出してしまう。そして今日も、また和寿がいるのではないのかと思ってしまう。 …別に、また会いたいと思っているわけではない。けれども、あの時は気持ちが動転するあまり、お礼を言いそびれていたので、会える機会を探しているのも確かだ。
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