二人きりの夕食

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明るかった陽射しが傾き、西向きの窓から柔らかな光が工房に差し込んでくる。和寿が気がつくと、もう夕刻を迎え、この工房へ来て2時間が経とうとしていた。 佳音は依然として作業に熱中し、和寿の方へチラリとも視線を向けてこない。その佳音に、和寿はこの2時間考えを巡らせていたことを、思い切って提案してみることにした。 「あの……」 和寿が声をかけると、佳音は虚を突かれたのか、和寿がそこにいることに驚いたようで、体をビクッと少し跳び上がらせた。 何も言わず、ただ視線だけで和寿に返事をする。 「今日、お邪魔させてもらったお礼と言ってはなんですが…、森園さんに食事をご馳走したいと思うのですが…」 その申し出を聞いて、佳音は思考が固まり、鉛筆を握りしめたまま直立した。 和寿が、なぜこんなことを言い出すのか分からない。 「いいえ、そんなことをして頂くようなことは、私は何もしていません」 すると、和寿は佳音がそう言って断ってくると想定していたのだろう。柔らかく笑いながら、違う言い方をして佳音の心の負担を軽くしようと試みる。 「…実は、僕も自分の家に帰っても、一人で寂しく食事をしなければなりません。だから、僕が食事を作りますから、一緒に食べてくれませんか?」
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