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いつか、白馬に乗って私をつれさってくれないかなぁ…なんてことを考えてしまうほどに。
「初対面の時からずっとこうだよ。かわいい子に王子って呼ばれるのはうれしいしね。」
そういってニコリとほほ笑む王子。相変わらず素敵ですね…!
「そうなのか。興味深い考え方だ。」
そういうと、智怜先輩は考えこむように黙ってしまった。それから、しばし沈黙が続く。
…はっ、まさか、構ってほしいのだろうか?話しかけたいけど、恥ずかしい…だから本当はとてもさびしがり屋だけど、それを隠してるとか…? なんてかわいい…!
心なしか、智怜先輩がちらちらとこちらを見ているように見える。これは、仲良くなりたい合図!? そうか、先輩のほうが年上だけど、慣れない場所で初対面の人といるのは心細いはず! 私が盛り上げないと!
「智怜先輩!」
私がそういうと、先輩はゆっくりと顔を上げた。
「智怜先輩は、この文化研究部のこと、詳しくご存知ですか?」
すると先輩は首を縦に振る。その動作一つで、私のテンションゲージは0になる。せっかく、話す内容が見つかったかと思ったのに。
「聖さんから概要は聞いている。」
…確かによく知らない部活に入ったりしないよなぁ。えっと、ほかに聞きたいこと…
「智怜君は、人の感情を研究したいらしい。夢とか、恋とか。だから、君にも協力してほしくてね。…いいかな?」
「もちろんです!」
仲良くなりたいのに会話の内容が思いつかなかったので、とても助かった。しかも私の好きな分野だし、答えにも困ることはなさそうだ。
「よろしく頼む。」
私は智怜先輩が静かに言ったその言葉がうれしかった。何となく、さっきまでとは違って、感情がかすかに入っていた気がしたからだ。
それを見ていた王子は、くすり、とかすかに笑った。そして、智怜先輩にむかって、こういった。
「心くんの小説は面白いから、よければぜひ読んでみればいい。何か、ヒントになると思うよ。」
王子に褒められたのはうれしいが、ただ自分の理想を書いているだけなので、その言葉で無駄に期待されるのは、恥ずかしい。
智怜先輩はこくりと頷いてから私のほうにゆっくり近づいてきた。その黒い澄んだ瞳は私だけを見つめている。
「まず、問おう。心さん、友達としての好きと、恋愛の好きの違いは、何だと思う?」
「ふぇ?」
何とも答えにくい知るもんである。私でさえよくわかってないし…。
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