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「うーん…難しいですねぇ。」
もともと、恋愛や友情とは、感覚的なもので、基準なんてないのだ。恋愛か友情かわからないなんてことも、よくあることだし。すると、智怜先輩は、
「では、問いを変えようか。愛と恋の違いとは、何だ?」
愛と恋…か。
「人それぞれじゃないですかね?価値観の問題です。だから、私には私なりの解釈があります。」
伊達に恋愛小説を書いているわけではない。とても安易なものではあるが、持論程度はある。よく言われていることだが、恋とはおちるもの。でも、愛とは…溺れていくものだ。
私がそういうと、王子は少し驚いてから、問いかけた。
「そうなんだ。僕も、聞いてみたいなぁ。」
…なんか、そんな風に言われると少しいうのが恥ずかしいな。でも、興味を持ってもらえたことが、嬉しかった。
「恋は、いずれ覚めると思うんです。そこには下心がある。恋は盲目、なんていうでしょう? つまり、相手のすべてが見えるようになったら、それは恋じゃない。その先にあるのは、破滅か…愛か。愛は、相手のすべてを受け入れ、ダメなところも含めて相手を認めること…ですかね。相手の一部が好きなわけじゃなくて、相手の存在が好きというか。そうやって、時間ををかけて二つの思いが交差していくから、恋愛…っていうのかな、なぁんて。」
私は目を閉じながら、ゆっくりとそういった。こんなことを言っても、わかってくれるひとなんて滅多にいないけれど。だって、目に見えないものだし、恋だの愛だのと語るには若すぎる。でも、私はこの意見を変えたりしない。だって、これが、私という人間だからだ。
「なるほど。興味深い考え方だ。」
智怜先輩は優しく、私にそういった。そんなこといったのは、先輩も含めて三人だけだ。そのセリフが、妙にうれしい。
「って、いっても、恋人すらいたことないんですけど。」
私がそういって目を開けた。心なしか智怜先輩の目が輝いているように見える。
「なるほど、それが友情と恋愛…いや、恋慕の差なのかもしれないな。」
小さい唇を動かしながら、そう答える先輩。
「ね? 面白いでしょ?」
そんな様子を見ながら、王子は智怜先輩にそういった。
先輩は大きめに頷き、
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