Chapter-7-Sacrifice-to-survive-

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Chapter-7-Sacrifice-to-survive-

  そんな凄惨な崎を見てしまった田所は 「あっ‥‥ああああっ!!」 (さ、崎さんが‥‥!! こ、これが現実なんだ‥‥!! これが死人なんだ‥‥!! ぼ、僕はやっぱり 何も出来ない臆病者なんだ!!) 噛まれた崎を見て 再び恐怖に堕ちてしまった。 これが現実‥‥。 死人は非道で人に対する心がない。 だから誰でも構わず喰えるのだ。 『か、魁人!むこうに火をやってくれ! 崎が噛まれたんやっ!!』 小山田が反対側の死人の対処に 追われていた魁人にそう伝えた。 『な、何だって!?くそっ!!!』 ブンッッ━━━━グシャッッ!! 『アァァ!!』『オォッ!』『グハッ!!』 魁人はその場で鉄の棒を振り回して 死人を薙ぎ倒すと駆け足で 相澤がいる方へ向かう‥‥‥!! 『り、凛ちゃん!! 早くこっちにおいで!!‥‥早く!!』 リコは相澤の肩を掴んで 安全な場所まで引っ張るが、 相澤自身は崎の方へひたすら 手を伸ばしていた。 『あぁっ!!‥‥‥だ、ダメ……!! 凛ちゃん早く逃げて‥‥!!』 グググ‥‥ 死人に噛まれながらも踏ん張っていた崎は どんどん暗闇の方へと吸い込まれて行く‥‥。 『イヤッ‥‥!! 離してリコちゃんっ!! 崎さんが‥‥崎さんが‥!!』 涙で前がぼやけて見えなくなりながらも 相澤は崎を追い掛けようとしていた。 『ダメよ凛ちゃん! 諦めるしかないよっ!!』 そんな相澤を田渕が必死に掴み、 か弱い力で引っ張っていた。 大切な友達を目の前で殺されて 失ってしまう悲しみ。 守るために殺された友達の行為を 無駄にしてはいけないと思っていても、 盾になった友達を失ったことに 耐えきれない心。 2人の女生徒は泣きながら 今という"刻"を歩んで行く‥‥。 そして‥‥ シュウ‥‥ とうとう魁人の持っていた アルコールランプの火が消えてしまう。 元々少量のアルコールしか 入っていなかったため 非常に短寿命だった。 『やべ‥‥突然消えたから何も見えない!!』 明かりが消えて突如真っ暗になってしまう。 アルコールランプの明るさに 合わせていた眼は真っ暗になると 全く見えなくなる。 「お、おいおいヤベェんじゃねぇのコレ!?」 小山田もここで死の予感がしたのか 慌てふためいている。  
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