1人が本棚に入れています
本棚に追加
「違いねぇ……目とか見えてても
バカじゃ何も出来やしねぇよな?」
ケラケラと死人の単純さを鼻で笑う佐野と
「ククッ………だな。」
その意見に同調して
見下す様な笑みを浮かべる杉村。
「お、お前らがそう言うならそうだな!」
王羅は頼もしい山伏達が言う事なら
間違いは無いだろうと強引に納得することにした。
しかし固く握られた拳は
小刻みに震えていた。
この壊れた世界で王羅はいつしか
死人との戦いに"生"を実感するように
なりつつあったのだ。
『もう!そんな簡単な相手じゃないんだからね!?』
調子に乗り始めている山伏達に
茜は改めて警戒する様に言った。
ただ、本心では以前の山伏に戻った様で
ホッとしているのか表情は何処か穏やかだった。
『わりぃわりぃ、、、
じゃ、今度こそ行くが準備はいいな?』
そして全員が山伏の問いに頷いて応える。
『よし、3…2…1…━━━━行くぞ!!』
ギッ‥‥‥!!
ゆっくりと本校舎の扉が開かれた。
『アアア‥‥‥』
その直後、待っていたとばかりに死人達が襲い掛かる。
『━━━━オラッ!』
━━━━ドガッ!
『ゲェッ!!』
死人1体が山伏の蹴りで後ろに仰け反った。
すると鳩尾を蹴られた勢いで血と一緒に
口から他の誰かの指が飛び出した。
『汚ねぇ!』
更に佐野も他の死人の顔面に
勢いのあるパンチを喰らわせた。
勿論佐野の手にはお手製の鉄のグローブが
装着されていたため、
通常のパンチよりも数倍の威力があった筈。
「グ、グロい‥‥!!」
茜は倒された死人達を見て
再び胃を戻しそうな気持ち悪さが
込み上げて来た。
『━━━━フンッ!!』
そんな茜の横を通り過ぎた王羅が助走を付けながら
━━ドッッ!!!
とめり込む音をさせて死人に力強い蹴りをお見舞いする。
『ウェアァァ………!!』
やはり王羅は普通の高校生とは
思えないほど力が強く、
死人は腹を蹴られて数メートル身体が浮き
後方に飛ばされてしまう。
「ひぇーやるな、、、」
そんな死人の有り様に杉村は
滅多に出さないような声を出して驚いた。
「待ってくださいっ山伏先輩っ」
何故か佳奈は山伏の背中に引っ付こうと跡を追う。
「は、早いよ雄っ」
これまた何故か茜も山伏の跡を追った。
その様子をじっと見ていた佐野は
(ピク〇ンみてぇだな。)
と心の中で呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!