Chapter-9-Confinement-of-the-dead-

2/26
前へ
/35ページ
次へ
  「違いねぇ……目とか見えてても バカじゃ何も出来やしねぇよな?」 ケラケラと死人(ゾンビ)の単純さを鼻で笑う佐野と 「ククッ………だな。」 その意見に同調して 見下す様な笑みを浮かべる杉村。 「お、お前らがそう言うならそうだな!」 王羅は頼もしい山伏達が言う事なら 間違いは無いだろうと強引に納得することにした。 しかし固く握られた拳は 小刻みに震えていた。 この壊れた世界で王羅はいつしか 死人との戦いに"生"を実感するように なりつつあったのだ。 『もう!そんな簡単な相手じゃないんだからね!?』 調子に乗り始めている山伏達に 茜は改めて警戒する様に言った。 ただ、本心では以前の山伏に戻った様で ホッとしているのか表情は何処か穏やかだった。 『わりぃわりぃ、、、 じゃ、今度こそ行くが準備はいいな?』 そして全員が山伏の問いに頷いて応える。 『よし、3…2…1…━━━━行くぞ!!』 ギッ‥‥‥!! ゆっくりと本校舎の扉が開かれた。 『アアア‥‥‥』 その直後、待っていたとばかりに死人(ゾンビ)達が襲い掛かる。 『━━━━オラッ!』 ━━━━ドガッ! 『ゲェッ!!』 死人(ゾンビ)1体が山伏の蹴りで後ろに仰け反った。 すると鳩尾を蹴られた勢いで血と一緒に 口から他の誰かの指が飛び出した。 『汚ねぇ!』 更に佐野も他の死人(ゾンビ)の顔面に 勢いのあるパンチを喰らわせた。 勿論佐野の手にはお手製の鉄のグローブが 装着されていたため、 通常のパンチよりも数倍の威力があった筈。 「グ、グロい‥‥!!」 茜は倒された死人(ゾンビ)達を見て 再び胃を戻しそうな気持ち悪さが 込み上げて来た。 『━━━━フンッ!!』 そんな茜の横を通り過ぎた王羅が助走を付けながら ━━ドッッ!!! とめり込む音をさせて死人(ゾンビ)に力強い蹴りをお見舞いする。 『ウェアァァ………!!』 やはり王羅は普通の高校生とは 思えないほど力が強く、 死人(ゾンビ)は腹を蹴られて数メートル身体が浮き 後方に飛ばされてしまう。 「ひぇーやるな、、、」 そんな死人(ゾンビ)の有り様に杉村は 滅多に出さないような声を出して驚いた。 「待ってくださいっ山伏先輩っ」 何故か佳奈は山伏の背中に引っ付こうと跡を追う。 「は、早いよ雄っ」 これまた何故か茜も山伏の跡を追った。 その様子をじっと見ていた佐野は (ピク〇ンみてぇだな。) と心の中で呟いた。    
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加