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Chapter-11-Water-contamination-#2
「‥‥何顔赤くしてんのよっ
話がちっとも進まないじゃない!」
茜もまた山伏の腕にしがみつくが
左手は山伏の肘辺りをつねっていた。
「痛い‥‥何でオレが
つねられてるんだ‥‥?」
そしてまた魔女のような
色気を撒き散らす佳奈が
『あっ!止めてあげてくださいよっ、、
先輩が痛がってるじゃないですかっ!!』
と言って山伏の右胸辺りまで
手を伸ばして左からギュッと抱き締めた。
ムニュッ
『うわわっちょっと佳奈ちゃん!!』
む、胸が‥‥ッッ!!
『ま、また誘惑してるっ!!
雄もされるがままじゃなくて
抵抗したらどうなのっ!?』
茜が激しく怒っている!
そして肘下をさっきよりも強く
つねって来ている!
『だ、だってオレ、
女の子に抵抗できない‥‥し』
その様子を見て相澤は呆れつつも
何処か微笑ましくも思っていた。
しかし話が先程からずっと進まない。
『か、魁人くん!
と、取り合えずその紙を渡したらどう?』
かやがやと揉める茜と佳奈と
巻き込まれる山伏を見て咄嗟に田渕は
魁人にその紙を渡すことを勧める。
『そ、そうだよね……えっと…これだっ!
山伏君、これがその紙だよっ!!
受け取ってくれ!』
そう言って魁人は山伏に
お面の男子から託された紙を差し出す。
ところが女子2人に両腕とも掴まれてしまい
受け取る事が出来ない。
『ちょっと佳奈ちゃんと茜!
受け取れないから離れてくれないか!?』
困った顔で離れる様に頼む山伏。
『あっ!ゴメン‥‥』
素直に謝りながらそっと離れる茜に対し、
『うぅ‥残念ですぅ‥、、、』
佳奈は名残惜しそうに離れながら
じっと山伏を見つめていた。
『‥‥‥‥!!』
この行動にも嫉妬していたのか
佳奈に不満気な顔を向ける茜。
そして佳奈もまた茜に視線を送り、
もう何度目か分からないが
互いの視線が交じり合い
見えない火花を散らせていた。
『まーた火花散らしてやがるぜあの2人。』
佐野が門から目を離して山伏の方を見て
呆れたように溜め息を吐く。
「山伏がさっさと
選ばないのもあると思うけどね」
呆れた佐野にノブは山伏がさっさと
決めないからだと指摘するが
『いや、男の中の男は
女なんて作らねぇもんだろ!』
王羅はそんなノブの言葉を否定して
立派な漢ならば女なんていらないと
言って返した。
「昭和やったらまだ平気かも知れんけど、
今の時代でそんなん言うの
オタクばっかりやぞ?
悪く言えば二次元に
囚われた醜い蛆虫って奴」
王羅の持論を尽く否定して
現代人としてあってはならない考えだと
戒める様に言った佐野。
『お前、案外毒舌だよな‥‥、、、』
そして気圧される王羅が小声で言った言葉に
魔王は満更でもないような顔をした。
『ぐぅ………くそったれ!
何でアイツばっか女にモテモテなんや!?』
悔しげに嘆く小山田は山伏に対して
嫉妬を露に苦言を漏らす。
「戯れ言ほざく前に
自分の顔を鏡で見てみろよ。」
そしてそんな愚痴をぼやく小山田に
杉村は重い一言を口から吐き出した。
『ど、どういうことだよっ!?』
小山田はその言葉に気圧され
杉村にそう問いかける。
バンバンッッ!!
杉村は無言で死人を2体仕留めた後、
こんな事を言った。
『"ゴキブリ"と"猿"の違いが分かるか?』
杉村は無表情でただ、そう言った。
『そんなもん違い過ぎるやろ!
猿は舌で味を感じてゴキブリは
足先で感じることかっ?』
何故か小山田はゴキブリと猿の
雑学を明かして杉村の問いに答えるが、
「‥鼻へし折るぞ」
見事に不正解を言い渡された。
『こわっ!!』
「誰がそんなどうでもいい豆知識で
違いを答えろなんて言った‥‥‥?」
杉村の目が黒く光り空間が歪む………。
コレただ事じゃない‥!?
杉村の身体からは黒い邪気が
周りを焼くように発生していた‥‥。
他の声が全く耳に入らない。
杉村のあの黒く光る邪悪な瞳と
目を合わせた瞬間にオレを
襲ってきた殺気‥‥‥!!
━━━これが死神か‥‥!?
死を覚悟した小山田だったが、
一瞬でその殺気は
小山田の首元から離れていった。
『‥進化だ。』
『へっ!?』
思わずマヌケな返事を返す小山田。
まだ額に溢れた冷や汗が治まらない。
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