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家族を失い、仕事も終わり、次から次へと新しい病気に出会い一般社会で暮らして行くのが、かなり難しくなり老人ホームでお世話になる事となった。
六十三歳の時だった、周りは、じいちゃん、ばあちゃんだらけ、六十代でいるのは自分だけだった、比率はヤッパリ、ばあちゃんが圧倒的に多い、外から見るのと中に入ってから見るギャップは相当なものであった。
何時もどおりの自分になるのに三年はかかったように思う。
最初の一年は、すべてが物珍しく面白く過ごした様に思う、だが、時が経つにつれ、老眼鏡を掛け徐々に焦点が合ってくる様に老人社会の実態が如実に襲いかかって来るのである。
八十年、九十年生きて来た女の本性はやはり、凄いものである、これだけは、同じ釜の飯を二、三年喰わなければ分からないだろうね…
こういう施設に勤めている職員でも、完全には分からないと思う。
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