1.旅立ちの分枝

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「う~ん、こんな感じかな…」  カメラのファインダー越しに、人形の位置と構図を確認しているヴァーシャ。 さんざん悩んだ挙句、やっと納得の行きシャッターを切ろうとした時、端においていた人形が立ち上がったかと思うとそのまま倒れこんでしまう。 「あっ!。もぅ…」  また、やり直し。 「ごめんユラ、人形起こしてくれない」  暇そうにしてたユラに、声をかける。 「はい、は~いな」  あまり手入れのされていないセミロングの髪を掻き分けながら、人形を製作した時に余った短い毛糸を色の統一感もなく、ただ漠然と結んでいた。 そこに、ヴァージャの呼びかけに、少しでも暇を潰せるのならと思い、人形の所に駆け寄っていく。 「こんなんで、いい?」 ヴァーシャとカメラを見ながら、人形の位置を確認して、 「うん、ありがとう」  笑みを浮かべお礼を言うと、その様子をユラ同様暇を持て余していたエーファは、椅子を反対に座り背もたれを抱え込んでいた。 「ねぇ、ヴァーシャ」 「何?」  体制を入れ替え、背もたれに頬杖をつき、 「何で、そんなめんどい事やっているわけ?」 「めんどいって…」  呆れながらも苦笑して、ファインダーに目をやる。     
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