1.旅立ちの分枝

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スクリーンパネルのボードをユミハが、部室の倉庫から持ち出してくる。 電源スイッチを押すと、パネルが明るく映し出され、ユミハはタッチペンを取り出し2、3操作した後、徐に議題を書き出して行く。 「はいは~い、じゃヴァーシャがうるさいから、とっとと学園祭の演目決めるよ~」  気のないエーファの言葉は、如何にもめんどくさそうな覇気のない言葉に捉えられがちだ。 曲がりなりにも、この人形劇同好会の発足人であり部長でもある彼女は、誰よりも人形が好きで4人に作り方の指導や動作プログラム作成を伝授する程、知識と経験が豊富なのだが、如何せんやる気が出るまでがじかかかるのである。  好きな事をやりたいが楽をしたいという、怠惰的な態度が行動の妨げになっている。最近は、自分以外の部員が製作出来る様になり、後輩のユミハの入部も相成って、分業とかこつけては益々さぼり癖が万永してしまっていた。  そんなエーファのやる気と行動を導かせるまで、4人の一連のやり取り、最近では5人のやり取りが、一種の通過儀礼と化した。 「何よ、その言い草は。まるで私が悪いみたいじゃない」     
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