石塚霧子

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 同僚の話では今年の新入社員に、とびっきり可愛い子がいるという。名前は確か、立花美里だったろうか。ショートカットの清潔感がある女性で、私も廊下で一度会ったことがある。  利発的で、男性受けしそうな顔だった。 「そういえば、なんとなく霧子に似てない?」という友人の声に、目の下がぴくっと震えた。 「石塚さん!」  軽やかな声が私を呼ぶたびに、胸の内側が撫でられたように気持ち悪かった。それでも私は彼女を笑顔で迎えた。  彼女を迎えるたびに、皮肉にも彼女に気に入られていった。顔を合わせば一緒に昼食を食べ、休日を共に過ごし、私と立花美里の仲は着実に深まっていった。  彼女にもらった小さな熊のぬいぐるみが忌々しい。彼女に時間がとられている気がするのだ。  とられているのは、きっと時間だけではない。  前に一度、恋人の話が浮上し、私と恋人と立花美里で食事をしたことがある。そのとき、立花美里と恋人の会話は大いに弾んでいた。趣味が合ったらしいが、私は野球観戦には興味がない。  その日から私の恋人は立花美里の話をよくするようになった。  
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