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「うわ、すっごい雨」
誰もいなくなった教室から、バツバツと窓の外の地面を叩きつける雨を私は見ていた。土の上を水が大きく跳ねている。
今日は雨が降るわよと、お母さんに言われたけれど、いつものように傘は持って来なかった。
自分が濡れるのは構わないけれど、借りた本が濡れるのは困ってしまう。
まだ昼間だと言うのに、空は薄暗くどんよりとしていた。
忘れ物を取りに戻った校舎には、もうほとんど人が残っていないのか静まり返っていた。
終業式が済んだ途端に、みんな夏休み気分の晴れやかな顔になって帰って行ったんだろう。
私だってそうだ。明日からひと月はここにじっと座っていなくていいと思うと、晴れ晴れした気分になる。
どうせなら、このまま学校なんてなくなっちゃえばいいのに。
そう小さく呟いて、私は窓ガラスにコツンと額をつけた。ガラスからひんやりとした冷たさが伝わってくる。
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