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『レミー』は、まるでデコレーションケーキのミニチュアの様な美しいおひとり様サイズのケーキを扱う、この辺りでは有名なケーキ屋。昨年売り出した"雪だるまのクシャミ~仲良しの子ウサギの贈り物、薔薇の雫をキラリと閉じ込めて~"とかいう商品名のフロマージュが雑誌に掲載されたりして人気が出たんだったかな。
「栗原さんの誕生日だから、レミーのケーキを10人分、折角だから栗原さんに好きなのを選んでもらえるように、1個ずつ違うのを選んでくれ、と福沢諭吉1枚と共に送り出した。」
「…俺だったら舌噛みます。あ、恥ずか死するほど嫌だって訳じゃなくて、まどろっこしいじゃないですか。言えない。絶対言えない。あの店のケーキの商品名だけは…っ」
何をやってもパーフェクトな仙道さんが、ピンク色の店内で『すみません!"天使のお昼寝 アプリコットのふわふわベッドの昼下がり"をひとつと…』なんて買い物を…
うっっわーーー!!見たい!動画撮りたい(←!)
服部さん、GJ(ぐっじょぶ)!今すぐ追いましょう。
スマホと財布だけポケットに入れ、俺と服部さんもオフィスを抜け出した。
店に足を踏み入れると、奥のケーキのショーケースの前に仙道さんを見つけた。混み合う店内の贈答菓子の陳列棚に隠れ、俺たちは様子を伺った。
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