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「リュシオル!クオーレ!そろそろ行くぞ」
「リヒトもそろそろ行くよぉ」
あれから二年、俺たちは七歳になっていた。
そして今日は、この国の学校、リベラーレ学園初等部の入学式の日だ。
イチイにぃも行ってるところで、全寮制のために、しばらくは屋敷にも帰ってこれない。
イチイにぃは、今中等部二年だから、これからしばらくは、学校で顔を合わせる機会がある。
「二人とも忘れ物なーい?」
「大丈夫だよ、母さん。何度も確認した」
「イチイにも、たまには帰ってくるよう伝えておいてね?もちろんあなたたちも、たまには顔を見せにきてちょうだい」
「分かってますよ、母さん」
「くれぐれも粗相のないように、そして無理のないように学んできなさい。何かあったら連絡しなさい。いいね?」
「うん、父さんと母さんも、何かあったら連絡してよ」
「僕らも母さんと、父さんのことは心配してるんですから」
「あぁ、分かった。ほら、そろそろ行かないと時間だぞ」
「それじゃ、元気で!」
「行ってきます」
俺たちはそう伝えて、俺はリュシオルに、セラはリヒトにまたがった。
「頼むよ、リヒト」
「行け、リュシオル」
馬車なんてだるい俺たちは、今じゃ俺たちを乗せてでも走れるようになった、狼二匹で学校まで駆ける。
そのそばを、クオーレもついてくる。
俺たちはこの二年間で、だいぶ成長したと思う。
セラは、前は人見知りしがちだったのに、今では自分から話しかけたりできるようになった。
しゃべり方に硬さも抜けて、性格と共に、男の子だなって感じになってきた。
まぁ相変わらず…俺に引っ付き虫なのは変わんないけど、周りの女の子の反応が、可愛いからカッコイイに変わってきたのも事実だ。
それに対して俺は、少しばかり幼稚さを残した話し方から、離れることができた。
もう七歳なわけだし、ある程度は大丈夫だろう。と元の自分に戻ってきつつある。
まぁ、もともとしゃべる方ではなかったし、クール系お兄さんに見られたりとかしてるみたいだが、そこはどうでもいい。
俺たちは、見た目もお互いに少しずつ変わり、今では間違われることもない。
セラは相変わらず、ツーブロックで髪は短くしている。
俺はなぜか切ることを皆に反対されて、長い髪を三つ編みにしていた。
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