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上唇を食まれ、閉じていた目蓋を開けると、ずっと近い位置に拓真の端正な顔があった。 欲情の灯った双眸にぞくりとすると、身体の奥深い場所に拓真の熱が伝わって、陽向は下肢を震わせた。 「一緒に生きていこう。ずっと、俺のそばにいてほしい」 乞われながら額に拓真の唇が落とされた。 「……はい」 頷きながらしっかりと返事をすると、ふわりと目を細めた拓真に「いくよ」と告げられた。 それから先はよく覚えていない。 くり返し名前を呼ばれ、奥へ分け挿った熱が、今度は引き戻される間隔が次第に短くなっていった。 拓真の首筋から、陽向の唇にぽつりと雫が滴った。 海の味がした。 「っ、ひな……」 拓真が低く呻いた。 甘やかな拓真の重みを受けながら、陽向はどうしようもなく泣きたい気持ちになった。 いつの間にか、拓真の手があたたかい。 そのぬくもりは、まごうことなく自分が与えたものだ。 嬉しい。 自分にも愛する人にできることがあったのだと。 どこまでも透明になっていく。 世界はこんなにも美しい。 ☆ 伸和さん。 今まであなたを縛りつけてきたこと、申し訳なく思っています。 本当はあなたともっと話がしたかった。 もっと傍にいたかった。 この病気は、あなたを少しの時間でも縛りつけようとした身勝手な私へ、神様が与えた罰なのかも知れません。     
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