まぼろし

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「冗談です。でも、気をつけてくださいね。 外部の人に情報を握られたら厄介なことに なりかねませんから。」 沙紀が微笑んでいたので宗一も合わせて 笑顔を作ったが、背中を冷めたい汗が 流れた。彼は世間話のつもりで話した ことが個人情報に繋がる等と考えたことは なかった。しかし、言われてみれば年齢と 部活の記録を辿って出身中学がわかれば 実家を突き止めることが可能だ。もしも 相手がそのつもりならいくらでも悪用 できる。脅しのネタには困らない。 ストーカー行為だって出来る。 宗一はふと早生子を思い出した。早生子は 自分のことを何も言わずに去って行った。
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