まぼろし

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ある夜、宗一が帰宅するとリビングの テーブルの上に白い封筒が乗っていた。 美咲からであった。 『宗一さん、随分考えましたが、私はやっ ぱり他の女性と会う人とつきあうことは 出来ません。あなたは今も早生子さんが 好きなのでしょう? 例えそれが女性と してではなくても、私はイヤなんです。 カギを返しますね。ドアポストに入れます。 どこかでわたしを見かけても声をかけない で下さい。さよなら。お幸せに。美咲』 読み終えた宗一は天を仰いで大きな ため息を洩らした。どうしてこんなことに なってしまったのか。早生子を探すうちに 美咲まで失ってしまった。
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