おまけ。またフラれるかもしれない。(三島先生編)

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美鈴の勤める病院の駐車場に車を停め、勤務が終わる時間まで 少し昼寝をする事にしたけど、 眠りが訪れる様子はない。 美鈴の泣き顔ばかりを思い出し、ため息が出てしまう。 少し早めに職員入り口が眺められる場所に車を移動させて、 美鈴が帰ってくるのを待つ。 帰る人が少なくなって、ポツリポツリと人影が通り過ぎる。 俯いてゆっくり歩く美鈴が現れる。 俺が急いで迎えに行くと、 ゆっくり顔を上げた。 涙は流れていないけど、薄く微笑む顔は表情が少ないままだ。 こんな顔をさせたのは俺だと胸が痛い。 「美鈴、少し話そう。」と言うと、 少し表情が動いて、 「聞きたい事があったし」と決心しているように呟いた。 きっと俺の秘密を聞く覚悟を必死にしたんだろう。 他にオンナがいるのかもしれない。と泣きながら思ったのかもしれない。 そっと手を引いて車の乗せ、 美鈴が一番心配している事を否定しておく。 美鈴しか好きじゃないと 他に女なんていないと、美鈴を愛していると そう言うと、 「…私も裕人さんが好きです。」とポロポロ涙を落とした。 すぐに抱きしめたかったけど、 俺はまだ言っていない事がある。 「美鈴に嘘を付いてた。」 と言うと、 何も言わずに目を閉じ、声を出さずに泣いている。 こんな風に傷つけるつもりじゃなかったのに… 早く、言っておかなかった事を とても後悔していた。
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