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夜斗が生まれて次の日
煌弥がこの世界に来て三日目
今日は取りあえずこの世界で一番の物知りがいるとこに行くことにした
勿論行く理由は夜斗のこと、そしてこの世界に本当に煌弥以外にチート的人物が
いないのか、という二つを聞くためだ
「んで、その一番の物知りがいるのってどこなの?」
「長樹の森だ」
「あぁ、昨日行った森の近くだよな」
長樹の森は、昨日の暗黙の森に隣接する森だ
この世界で最も古い樹木がある森ということで長樹の森、と呼ばれている
でもそのようなところに人がいるのかは疑わしい
「こら、夜斗。あんまり身乗り出してると落ちるぞ」
因みに夜斗は今、煌弥の着てる上着のパーカーの中にいる
さっきから落ちそうなくらいに身を乗り出し、辺りをきょろきょろしてる
それに煌弥は多少なりと心配していた
何しろまだ生まれたばっかりで、背中にある小さな羽では飛ぶ力がない
ただ成長速度が速いらしく、昨日より大きくなっているのも確かだ
おかげで背中のパーカーは重い
「キュッ?」
「落ちるって言ってんの」
「キュゥ~」
夜斗はちゃんと人語を理解してるらしく、しっかり返事をする
それに煌弥達と同じ人語を喋ろうとしてるのか、煌弥たちの言葉には敏感に耳をかたむけて、たまにキュッとか以外の鳴き方をする
夜斗はそれができるほどの知力を持ち合わせた獣ということだ
「そろそろ長樹の森だぞ」
「なんか昨日の暗黙の森の木より確かに背が高いな」
ずらりと立ち並ぶ木
木が高すぎて光があんまり射し込んでこないせいか、少し薄暗い
そのせいか、煌弥達の空気までどんよりしてる
「キュッキュッキュッ?」
「何言ってっかわかんないよ、夜斗」
「キュゥッ!!」
「んー、んじゃ誰に会いに行くのかとか?」
「キューキュッ」
「違う?んじゃ…何しに行くのか?とか?」
「キューキュゥッ」
「さっきそれは聞いてたって?んじゃぁ…こんなとこにホントに物知りがいるのか!とかか?」
「キュゥ」
「おっ、当たり?」
何となく雰囲気で、思いつくものを煌弥が言うと、どうやら煌弥が最初におもっ
ていた疑問を夜斗も感じていたらしい
意図の伝わった夜斗は、何やら嬉しそうに鳴いていた
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